第20期プロコン育成塾 第2回を開催しました。

令和6年8月31日(土)に第20期プロコン育成塾の第2回講義を開催しました。

台風10号の影響が懸念されたため、当日早朝まで開催に向けて出来る限りの対策を打ってきましたが、幸いにも台風の影響は軽微であると確認でき、無事に開催することができました。結果として台風対策は杞憂となりましたが、準備は万全を尽くしワーストケースに備えることはコンサルティングの現場でも重要なことです。今回の対策も今後のプロコン育成塾運営の資産となりました。

午前中は、西口講師による第2講「中小企業特有の財務診断」の講義が行われました。講義では、中小企業の財務の特徴や診断時の注意点、さらに中小企業診断士は管理会計の視点が重要であることなど、実体験を交えてプロコンとしてのあるべき姿勢の講義がありました。財務は塾生にとっても関心の強い分野であり、集中して講義に取り組む姿が見られました。

午後の前半は、第3講「業種別(製造業、小売業・飲食業・サービス業、建設業)の着眼点と分析のセオリー」が行われました。この講義はより実践的なプロコンの育成を目的として、近年追加導入されたカリキュラムです。

加藤講師による製造業の講義では、ビジネスモデルや業務フローにおける着眼点、押さえるべき数値データなどについて説明がありました。併せて、定量的な分析手法にとどまらず、製造業の強みの見つけ方や、経営者との関係構築といった定性面にも触れられました。また現場改善活動である5S活動が貸借対照表や損益計算書にどのように影響するかといった、経営全体を俯瞰する中小企業診断士ならではの視点なども紹介されました。製造業は診断機会が多い業種でもあり、塾生にとって多くの学びが得られる講義となりました。

只野講師による小売業・飲食業・サービス業の講義では、業種別の着眼点を押さえられているか否かで、現状分析の視点や分析から得られる気づきが変わるというお話がありました。また業種別に、どの程度の知見を備えて、経営数値を把握しておくべきかについて、パン屋さんの事例を用いた説明がありました。塾生は理論だけでなく実務に即した具体的なイメージを持つことができ、これから始まる経営診断実習にどのように取り組んでいくのかを想像できる講義となりました。

井上講師による建設業の講義では、建設業特有の着眼点に加え、経営者の自社の経営状況に対する認識と企業実態との間のズレをどのように発見するか、そのズレを経営者にどのように理解してもらうかについての説明がありました。特に強調されたのは、表面的な問題を単に裏返しただけの解決策では不十分であり、問題の根本にある原因を解明した上で解決策を具体的な行動に繋がるまで落とし込む必要があるという点です。そのためには経営者とコンサルタントの双方が、対話を通じて企業の現状をしっかりと理解することが不可欠であると話されました。塾生は建設業のみならず、他の業種にも適用できる洞察を深めることができたのではないでしょうか。

午後の後半は、橋本講師による「ヒアリング」についての講義と、実践グループワークです。

聴き手のリアクションがヒアリングの場に与える影響を確認するワークや、三人一組でのロールプレイなど、塾生はプロコンとして聴く姿勢の重要性を体感しました。橋本講師からは聴く姿勢を通じて相手の心をつかむ考え方や、経営者の心理、想いを汲み取ることの大切
さについてお話がありました。

塾生はグループで聴き手、話し手、そして観察者の役割を担い、これまで気付かなかった聴き手の姿勢の重要性を実感しました。

本日最後の講義では、橋本講師より「診断先の初回訪問時の注意事項」の説明がありました。来月から経営診断が始まります。初回訪問のマナーや注意点、診断先の社長との信頼関係の構築の仕方など、プロコンとしての立ち居振る舞いについて熱く語られました。

そしていよいよ塾生の経営診断先企業の発表です。塾生は自身の担当企業を目にしてモチベーションが高まった様子が伺えました。その後、担当講師と初回訪問に向けた打ち合わせをして本日は終了です。本日は長丁場となりましたが、濃密な内容であっという間の一日でした。

塾生の皆さんにとって実り多いプロコン育成塾となるよう、事務局一同引き続き応援していきます。