第21期プロコン育成塾 第6回を開催しました

プロコン育成塾のカリキュラムの山場である経営診断報告演習を12月13日(土)と14日(日)の2日間にわたって開催しました。

塾生は、9月から独力で担当企業についての調査・分析を行ってきました。その結果を経営診断報告会という形で年明けに経営者に対して報告・提言を行うのですが、その前に講師陣に対して経営者への報告会を想定した模擬プレゼンテーションを行いました。もちろん、本人と直接担当する講師以外の参加者には、企業名は分からないようにしています。

30分間の塾生の発表の後には講師陣から、報告書のクオリティを高めるための具体的なアドバイスやコンサルタントとして大切にすべき姿勢について、多岐にわたるフィードバックがありました。以下にいくつかご紹介します。

  • 社長の言葉をそのまま鵜呑みにせず、客観的な事実やデータで裏付けを取り、検証する姿勢が不可欠である。
  • 社長との信頼関係を築くためには、「社長以上に会社のことを理解している」という水準まで分析を深め、それを報告書で示す必要がある。
  • 経営上の課題と、それに対する解決策(提案)の論理がつながっていなければならない。分析と提案が乖離しないよう注意が必要である。
  • 「深刻な危機」といった情緒的な言葉ではなく、客観的なデータとエビデンスを用いて状況を正確に示すべきである。
  • 「何をやるか」だけでなく、「誰が、いつまでにやるのか」という具体的なロードマップがなければ、提案は絵に描いた餅になる。
  • 提案は経営者だけでなく、現場の従業員にとっても説得力があり、納得して動ける内容になっているかが重要である。

経営診断報告演習には、オブザーバーとして当塾の修了生も多く参加しました。今回はのべ18名が参加し、自らが受講していた当時を振り返りながら塾生にエールを送りました。講師だけでなく、修了生も一緒に後輩を育てるのが当塾の伝統です。

また、当協会の植田訓行会長も激励に訪れ、塾生に対して厚いメッセージを送ってくださりました。

 

総評として、塾長からは今年の報告書の傾向についていくつか指摘がありました。
例えば、SWOT分析が甘いことや必要な分析が十分にできていないことなどです。加えて、今年は「ネットやAIで調べれば出てくるような一般的な手法の説明」に留まっているだけの記載なども散見されました。「自ら汗をかいて、その企業のために考え抜く」という泥臭さが不足している点について、厳しいながらも期待を込めたコメントがありました。

また、講義の最後には、佐藤一斎の『言志四録』からの次の言葉が紹介されました。
「学は自得するを貴ぶ。人徒らに目を持って字有るの書を読む。故に字に局して、通透するを得ず。
当に心を以て字無きの書を読むべし。乃ち洞して自得する有らん。」

これは、「目に見える文字や表面的な情報だけを追うのではなく、その背景にある道理や、社会の事象を心の眼で読み解くことが大切であり、そうして初めて本質的な解決策が見えてくる」という教えです。

 

2日間の演習の終了後には懇親会を行いました。塾生はそれぞれの発表を振り返りながら講師や修了生に積極的に質問するなど、リラックスしながらも学びを深める機会となりました。

塾生はこの後、担当企業への報告会に臨みます。それまでに今回のフィードバックを受けて、報告書をどのように改善していくかが問われます。残りの期間、塾生の皆さんがさらにブラッシュアップを行い、ご自身が自信をもって提出できる報告書を完成させることを期待しています。