第21期プロコン育成塾 第2回を開催しました
8月30日(土)、第21期プロコン育成塾の第2回講義が開催されました。財務診断の基礎から業種別の分析ポイント、さらには実践的なヒアリングスキルや初回訪問時の心得まで、盛りだくさんのプログラムとなりました。
午前は西口講師による「中小企業特有の財務診断」の講義でした。銀行員時代の経験を踏まえ、決算書の真実性を見極める視点や、資産・負債の実態把握における注意点について、解説がありました。粉飾決算の可能性や、複数種類の決算書が存在する現実に触れ、中小企業診断士には「本当の姿」を見抜く力が求められることを再認識しました。また、キャッシュフロー分析の重要性など、実務に直結する視点を数多く学びました。
午後の前半は、「業種別の着眼点と分析のセオリー」の講義が行われました。
加藤講師から、製造業に特化した分析のセオリーについて解説がありました。
サプライチェーン内での位置づけや使用材料の特性による競争環境の違い、また「なぜその企業が生き残っているのか」という強みの掘り下げなど、診断士としての着眼点が整理されました。さらに、財務状況の把握や投資計画の助言に加え、現場の5S活動と利益改善のつながり、人材育成や事業承継の重要性についても触れられました。
続いて只野講師からは、小売業・飲食業・サービス業を対象とした分析の基本が解説されました。「参入のしやすさ」や「診断機会の多さ」といった業種特性を踏まえつつ、売上高を「客数×客単価」で捉える基本的な考え方から、商圏分析ツールの活用、商品カテゴリーの特性理解、FLR比率を用いた収益性分析など、実務に役立つ具体的な視点を数多く学びました。また、経営者の思いを正しく言語化することの重要性も強調され、表面的な提案ではなく「本質的な勝ち筋」を見つけることが診断士の役割であると示されました。
井上講師からは、建設業の特性を踏まえた分析のセオリーをご紹介いただきました。建設業特有の会計科目や経営事項審査などの制度的背景を踏まえつつ、工事ごとの利益管理や時系列比較の重要性を強調されました。実際の診断事例をもとに、売上重視から利益重視への転換を促した経緯は非常に示唆に富むものでした。「数字をストーリーで示し、ストーリーを数字で示す」という言葉が印象に残りました。
午後の後半は橋本講師によるヒアリングについての講義とグループワークでした。
経営者の話を傾聴する姿勢の重要性、非言語・言語コミュニケーションの工夫、そして「相手の本音を引き出す」ためのテクニックを体験的に学びました。単なる質問の羅列ではなく、寄り添い、共感しつつ深掘りするスキルが、信頼関係構築の基盤になることを実感しました。
グループワークでは塾生が聴き手と話し手、そして観察者に分かれてロールプレイを行いました。聴き手の姿勢の重要性を実感すると共に、これまで気づかなかった自分自身の癖を指摘され、大いに盛り上がりました。
最後は、橋本講師から診断実務に直結する「初回訪問の注意事項」の説明がありました。
第一印象の重要性や、事前準備の徹底、関係性構築を最優先とする姿勢などが強調されました。特に「初回訪問で次回につなげられるか否かが、その後の診断を左右する」という言葉が心に残りました。机上の知識だけでなく、実際の現場での立ち居振る舞いまで含めて、プロとしての自覚を持つ必要性を改めて感じました。
今回の第2回講義では、財務の基礎から業種別の実践的な分析手法、さらにはヒアリングや初回訪問の心得に至るまで、中小企業診断士として現場で即活用できる幅広い知識とスキルを学ぶことができました。次回はいよいよ現場実習が始まります。これまでの学びを活かし、塾生一人ひとりがプロコンとしての実践力を高めていけるよう取り組んでいきます。