第20期プロコン育成塾受講生へのメッセージ (第4講・第5講 担当講師 東松 英司)
第4講と第5講を担当する東松英司です。私は当塾の第7期を受講し、その後2年間は事務局、第10期以降は講師の一員として当塾に関わらせていただいております。経験も人脈もない状態で独立し、かれこれ10年以上が経ちました。中小企業診断士を取り巻く環境もずいぶん変わったように感じます。独立するしないに関わらず、今後の仕事、人生の方向性に関する悩みなど、気兼ねなくご相談いただければ幸いです。
さて、第4講「本質的原因の掴み方」と第5講「改善提案、診断ストーリーの組み立て」では、経営診断の根幹に関わるテーマを扱っていきます。
募集案内に記載のとおり、当塾では座学と並行して受講生の皆さんに“独力での経営診断”に挑んでいただきます。近年の受講生の様子を見ていると、残念ながら講義内容が十分に活かされていない診断報告書が非常に多くなっています。特に、分析が不十分なケースが目立ち、毎年不安を感じさせられます。
既存のフレームワークに当てはめて一般論としての評価を与えるだけでは、経営者は納得しません。企業の内部に目を向け、その企業ならではの特徴や問題点を的確に捉えなければ、文字通り「話にならない」のです。人間が一人一人個性や人生が異なるように、企業も一社一社異なります。どのような分析をすればよいのか、決まったやり方はありません。自分の頭でしっかり考え、答えを見出さなければならないのです。
経営診断の目的は、診断先企業をより良い状態に導くことです。浅い分析で表面上の問題点を潰すばかりでは、一時的な効果しか得られず、“もぐらたたき”のように問題はすぐに再発します。問題を次々と生み出す“本質的な原因”を明らかにし、現状から脱却する道筋を示さねばなりません。
また、方向性が定まっていなければ、あるべき姿とは真逆の提案をしてしまうことにもなりかねません。一般論ではなく、その企業にとって真に必要なことは何か、しっかり見定める必要があります。
さらには、こちらの考えを経営者に正しく理解していただき、改善策に取り組んでいただけなければ何の意味もありません。そのためには、明快さと説得力を併せ持つストーリー展開で経営者の心を動かし、自発的な行動を引き起こすことが求められます。正論をぶつけて独り善がりになっているようでは本末転倒です。
受講生の皆さんにとっては実習に過ぎませんが、診断先の経営者にとっては、会社の行く末が懸かっています。相応の覚悟を持って経営診断に臨んでいただかなくてはなりません。とは言っても萎縮する必要は一切ありません。本講でしっかり学習したうえで、全力を尽くしていただきますよう、お願いいたします。
開講日が近づいてきました。皆さんとお会いできることを楽しみにしております。