プロコン育成塾第22期生の半澤陽一です。

地域金融機関と公的機関で約30年、中小企業の支援に携わり、2025年に開業届を出して独立しました。現在は明石を拠点に、事業のステージに応じた経営改善・成長支援・創業支援を行っています。
独立して最初の1年は、正直なところ厳しい現実を味わいました。勤務時代には幅広い業種の400社以上の企業を分析し、助言や伴走支援を行ってきました。しかし、特定の業種に特化した専門性があるわけではなく、独立すれば「プロとしての実績」も一からの積み上げです。公募のお仕事に手を挙げても、実績の少ない1年目にはなかなか声がかかりませんでした。
数は少ないながらも、いただいた案件の一つひとつに全力で向き合ってきました。そうして活動を続けて半年ほど経った頃、ひょんなことから、これまでの経歴や中小企業診断士のつながりがご縁となり、大阪の公的機関で定期的な窓口相談のお仕事をいただけるようになりました。
一方で、気がかりも残りました。拠点としている兵庫でのお仕事が、なかなか増えないことです。兵庫で活躍されている中小企業診断士の諸先輩方はどのような視点で仕事をつくり、企業と向き合っておられるのか。同じく独立したばかりの診断士は、どのような視点で活動していこうとしているのか。座学で知識や情報を得ることよりも、そうしたプロの視点に直に触れて学びたい。その思いから、今回プロコン育成塾の門を叩きました。
3回目の講義の事前課題として、5年後の自分の姿を描く「プロコンスタートアッププラン」をつくりました。講義当日はそのプランを検討するグループワークがあり、講師の先生方に自分の事業について直接相談する機会がありました。そこで受けた2つのアドバイスは、立ち止まって自分を見つめ直す気づきの機会を与えてくれました。
第一は、自分の打ち出し方についてです。私はこれまで、資金調達から創業支援、Web制作、AI活用まで「幅広く対応できること」を強みとして並べてきました。講師の方からは、「自身のキャリアを背景とした得意分野を前面に出した方がよいのでは」と助言をいただきました。経営者の立場に立ってみると、色々できると言われても、何を頼めばよいのかは伝わりにくいのかもしれません。
改めて整理してみると、私が得意とするところは金融機関(融資審査)目線と中小企業診断士(経営改善)目線を併せ持ち、財務(数値データ)を基軸として経営を分析することです。そして、その分析から抽出した課題の解決に向けて、事業のステージに応じた伴走支援を行うことです。資金調達やWeb制作、AI活用はそのための手段なのだと、自分の中で位置づけを確かめることができました。
第二は、経営理念についてです。現在の案件はスポットのものが多く、定期的な顧問契約による伴走支援メニューの設計を相談したところ、「あなたを顧問にしたら、その企業はどこを目指せるのか。それを経営理念などで示してみてはどうか」とのお話がありました。自分が何を提供できるかだけでなく、相手がどうなれるのかを伝えること。日頃の支援では意識しているはずのその視点を、自分の事業にも向けてみる必要があると気づかされました。
プロコン育成塾では、講義と並行して実際の企業を診断します。私が担当させていただくことになったのは製造業の企業です。初回訪問を終えたばかりですが、決算書を外から読む目(金融機関目線)と、現場の数字を内から拾う目(中小企業診断士目線)の両方を生かせる診断になると感じています。塾で見つめ直した自分の軸をこの診断で実践し、確かめていくつもりです。
プロコン育成塾は、すでに独立している診断士にとっては自分の事業を見つめ直せる絶好の場です。経験を重ねるほど、自分を客観的に見る機会は減っていきます。講師の先生方や同期の仲間から率直な指摘をもらえる環境は、とても貴重です。
また、中小企業診断士の資格を取得したばかりで、これから独立を目指す企業内診断士にとっては、プロとしての実践力を養う場として非常に有効なのではないかと思います。
最後に、このような機会をいただいている塾長をはじめ講師の先生方、事務局の皆さま、診断先企業の皆さまに感謝しつつ、残りの期間も同期の仲間と切磋琢磨していきます。